「万策尽きた!」仕事あるあるが詰まった、P.A.WORKSの「お仕事シリーズ」3選

皆さんは自分のお仕事、好きですか?やりがいや嬉しい瞬間もある一方で、うんざりすることも多いですよね。制作会社「P.A.WORKS」は、そんな「お仕事」をテーマにした作品をいくつも作っています。仕事を頑張る女子を主人公にしつつ、仕事のリアルな辛さや楽しさを描いていて、「あるある!」「頑張れ!」と感情移入してしまうことうけあいです。そんな「お仕事シリーズ」、3作品を見てみましょう!

●『花咲くいろは』

【あらすじ】
ある日、母の彼氏が借金を作ったことから「夜逃げする」と言われてしまった松前緒花(まつまえ・おはな/CV:伊藤かな恵)。しかし、なんと夜逃げするのは母だけ。緒花は、会ったこともない祖母が女将を務める旅館「喜翆荘」(きっすいそう)に預けられます。

想いを寄せてくれたクラスメイト、種村孝一(たねむら・こういち/CV:梶裕貴)との別れに落ち込みつつ、緒花は新しい生活に期待をふくらませます。喜翆荘に到着し、「映画みたい!」とはしゃぐ緒花でしたが、そこで出会った美少女に突然「死ね」と言われて――?

『花咲くいろは』は、P.A.WORKS初の完全オリジナル作品であり、「お仕事シリーズ」の1作品目です。自由奔放な母から、「他人には期待しない」という価値観を学んだ緒花。それでも彼女は、突然始まった旅館勤めに翻弄されながら、「頼る」「教わる」ということを学んでいきます。

祖母でありながら人一倍厳しい、女将のスイ(CV:久保田民絵)や、「死ね!」が口癖の同僚・鶴来民子(つるぎ・みんこ/CV:小見川千明)など、仕事に厳しいキャラクターが多めなのもリアルな本作。女子高生の初めてのアルバイト…にしては、少々荷が重めです。

大人の事情で理不尽な出来事があったり、自分が休んでも回る仕事に無力感を感じたり…。それでも体当たりで頑張る緒花の姿を見ていると、つい応援したくなってしまいます。緒花は無事、お仕事に慣れることができるのでしょうか。旅館の裏側を見られるところも、本作の注目ポイントです。

突然の夜逃げ、突然の告白、そして突然の別れ――。
今までとは違う自分になりたかったという夢は、急に現実となりました。
私、松前緒花の平凡な日常は1日にしてドラマチックな展開を迎えたのです。
通い慣れた、それでいてあまり愛着のない街を出て、
話したことや会ったこともない祖母の元で暮らすのです。

●『SHIROBAKO』

【あらすじ】
制作会社「武蔵野アニメーション」で制作進行を担当している、社会人1年目の宮森あおい(CV:木村珠莉)。原画の回収やトラブル対応など、日々現場を走り回って仕事をしています。そんなあおいには、ある夢がありました。

「上山高校アニメーション同好会の仲間たちと、一緒に商業アニメを作ること」。それぞれが脚本家や声優を目指して夢を追っているものの、叶っているメンバーばかりではありません。日々の仕事に精一杯なあおいたちは、夢を叶えられるのでしょうか。

『SHIROBAKO』は、アニメの制作会社を舞台にした、「お仕事シリーズ」第2作目です。普段、私たちが何気なく見ているアニメの制作過程を、あおいの目を通して詳しく知ることができる本作。好きなことを仕事にしたあおいですが、その苦労も丁寧に描かれています。

トラブル対応で夜中から朝まで原画を書く人がいたり、設定が定まらずに社員総出で激論を交わしたり…制作会社の大変さは、まさにブラック企業スレスレです。それでも、手がけた作品の放送開始日は、集まって第1話を見て一喜一憂しており、その情熱に心打たれます。

そして、高校時代の仲間たちとの交流も見どころです。5人のうち3人は新社会人ですが、1人はまだ学生、1人は声優を目指すフリーターです。時に仲間と自分を比べて落ち込みつつ、それでも頑張る5人の仕事ぶりと、アニメ制作のリアルな裏側をぜひご覧ください。

武蔵野アニメーションの新人制作進行のあおいを中心として、アニメーション制作現場で起こるトラブルや、葛藤や挫折などといったアニメ業界の日常を描く群像劇。

●『白い砂のアクアトープ』

【あらすじ】
沖縄の女子高生・海咲野くくる(みさきの・くくる/CV:伊藤美来)は、海の生き物が大好き。夏休み中も、館長代理を務めている「がまがま水族館」で、張り切って仕事をしています。閉館の危機に瀕しているがまがま水族館を、なんとか救おうとしていたのです。

一方、アイドルになる夢を諦めた宮沢風花(みやざわ・ふうか/CV:逢田梨香子)は、思い立って沖縄にやってきます。がまがま水族館に立ち寄った風花は、声をかけてくれた風花に突然「私をここに置いてください!」と頼みますが――?

『白い砂のアクアトープ』は、沖縄の水族館を舞台とする「お仕事シリーズ」第4作目です。大切な水族館を守るために頑張る、くくるの一生懸命さがまぶしい本作。特に背景の作画がとてもきれいで、海や水族館のシーンは見ているだけでも癒されます。

くくるは、高校生で館長代理を務めるほどの熱意を持っていますが、ちょっと頑固なところがたまにキズです。良かれと思って突っ走ってもなかなかうまくいかず、空回りすることも。想いの強さが結果に直結しないところも、仕事の難しさといえそうです。

本作は2クールに分かれており、1クール目はくくるの高校時代、2クール目は社会人1年目が描かれます。特に就職後のくくるのつぶやき「嫌なことを我慢して、好きじゃないことやらされて、これが社会人になるってこと?」は、誰もがぶつかる壁ではないでしょうか。

1クール目は組織のトップだったのに、2クール目では一番下っ端になり、くくるはその変化にも悩みます。「お仕事ごっこはさっさと卒業して」と言われてしまうことも。新人時代のがむしゃらさや、フレッシュな気持ちを思い出させてくれる作品です。

「――見えた?」
くくるは、そっと、がまがま水族館のヒミツを教える。
「ここではときどき、『不思議なもの』が見えることがある」

このほか、『花咲くいろは』と『SHIROBAKO』は、劇場版も制作されています。そして2023年には、「お仕事シリーズ」5作目といわれる劇場版『駒田蒸留所へようこそ』が作られています。仕事を頑張る女子たちに元気をもらうもよし、他職種の社会見学気分を味わうもよし。作画クオリティや物語の完成度も高いので、ぜひ「気になったお仕事」から見てみてくださいね!

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(著:新美友那)